陸上競技 一般・高校・中学の各都道府県記録 歴代最古記録ベスト10(「オールド10」)を集計しました(2017/04/09追記)

もっっっっっっっっっのすごく意味のないことに時間をかけて調べました(やる暇あったら勉強したら?)

読んでいただけたら幸いです。

 

 

 

【背景】私は小学生の頃より陸上競技をしておりますが、熱心な月陸読者でもあります。

陸マガより月陸派です。

月陸に昔、「オールド10」なる特集が組まれていたことがあります。

僕が中学生ぐらいの記事だったと思うので、大体10年弱前だったかと。

「オールド10」とは、各都道府県の高校記録のうち、記録保持期間が長い10記録を集めたものを指していました(注:あくまでも勝手に名前付けただけで陸上のテクニカルタームではありません)。

現在、どれくらい古い記録が残っているのか気になったので、今回集計してみました。

 

【方法】各都道府県陸上競技協会HPに掲載されている記録を参考にした(2016年7月6~13日閲覧)。

集計した記録一覧

 

一般男子:100m,200m,400m,800m,1500m,5000m,10000m,ハーフマラソン,マラソン,110mH,400mH,3000mSC,5000mW,10000mW,20kmW,50kmW,4×100mR,4×400mR,走幅跳,走高跳,三段跳,棒高跳,砲丸投,やり投,円盤投,ハンマー投,10種競技

一般女子:100m,200m,400m,800m,1500m,5000m,10000m,ハーフマラソン,マラソン,100mH,400mH,3000mSC,5000mW,10000mW,20kmW,50kmW,4×100mR,4×400mR,走幅跳,走高跳,三段跳,棒高跳,砲丸投,やり投,円盤投,ハンマー投,7種競技

高校男子:100m,200m,400m,800m,1500m,5000m,110mH,400mH,3000mSC,5000mW,4×100mR,4×400mR,走幅跳,走高跳,三段跳,棒高跳,砲丸投,やり投,円盤投,ハンマー投,8種競技

高校女子:

100m,200m,400m,800m,1500m,3000m100mH,400mH,5000mW,4×100mR,4×400mR,走幅跳,走高跳,砲丸投,やり投,円盤投,7種競技 

中学男子:100m,200m,400m,800m,1500m,3000m,110mH,4×100mR,走幅跳,走高跳,棒高跳,砲丸投,4種競技

中学女子:100m,200m,800m,1500m,100mH,4×100mR,走幅跳,走高跳,砲丸投,4種競技

の種目に関して集計した。トラック種目は原則として電気計時のものとしたが、手動計時のみ県記録で掲載されている種目に関しては手動計時の記録を採用した。

おそらく10個以上拾えるが、これ以上集計する年代の幅を狭めると記録が10個に満たないだろうと思われる1975年(昭和50年)以前の記録を集計した。 

なお、北海道陸協のHPは改修中で閲覧不可、宮城陸協は陸協HPに県記録はなく、高体連HPに県高記録のみ掲載されていた。埼玉、京都、岡山陸協は府県記録(一般)のみ掲載されており、府県高校・中学記録はなかった。福岡陸協はHP上に県記録を掲載したExcelファイルのリンクがあるものの、開くことができなかった。
秋田、山形、東京、千葉、石川、愛知、山口、香川、佐賀、大分陸協はHP上に全ての都県記録を見つけることができなかった。

よって、一般・高校・中学の各世代別都道府県記録を全て集計したのは31府県である。

 

 

【結果】

1975年までの記録を集計した。

年代別に分類すると、

1950年代:1  1960年代:14  1970年代(1975年まで):23

となった。新しい記録の方がより多い傾向にあった。

 

トップ10を順にあげる。

 

第8位(同年3つ):1967年

京都府 男子 ハンマー投 65m26 大下紘一(日レ)

広島県 男子 砲丸投 16m69 石田義久(東洋工業)

熊本県 中学女子 砲丸投 16m16 林香代子(長洲)

 

第6位(同年2つ):1965年

岡山県 女子 砲丸投 14m71 今岡倶子(日大)

宮崎県 男子 800m 1分49秒2 岩下察男(旭化成)

 

第5位:1964年

岐阜県 高校女子 円盤投 42m70 松崎里枝(長良)

 

第2位(同年3つ):1961年

岩手県 女子 砲丸投 14m75 小保内聖子(日大)

岩手県 女子 円盤投 47m37 小保内聖子(日大)

宮崎県 男子 ハンマー投 66m48 岡本登(旭化成)

 

第1位:1952年

山梨県 女子 円盤投 44m86 吉野トヨ子(教育庁)

 

 

【考察】

第1位は1952年に女子円盤投で吉野が樹立した山梨県記録。2位が1961年なので9年差をつけて圧勝ですね(何の勝負してるかよくわからないですが)。

今年が2016年なので64年前!!! ご存命ならば現在85歳くらいなのでしょうか。

 

(2017/04/09追記:吉野トヨ子さんの記録は昔の日本記録で、しかも5種競技の日本記録保持者でもあるんですね、勉強不足でした。

なお、2年前に94歳でお亡くなりになっているそうです。

出典:Wikipedia 𠮷野トヨ子 吉野トヨ子 - Wikipedia 2017年4月閲覧)

 

山梨のイメージとしては、IH路線のめちゃくちゃ激戦区の南関東に入っているせいで東京・神奈川・千葉にコテンパンにされてる、っていうのがあるんだけど、人口もそう多くないしなかなか強い選手が出てこないんですかね。

 

さらに、東京五輪が1964年開催ということは、その年から残っている記録が5つ。半世紀たてば、競技する環境(グラウンド、器具、食事、練習方法)などもかなり向上しているはずなのにこれらの記録を上回れないのは当時樹立した記録としては突出したものだったのだろう。

種目別にみると、トップ10では

砲丸投:4 円盤投:3 ハンマー投:2 800m:1

であった。圧倒的に投擲競技が多くを占めている。

1975年以前の記録で分類しても、投擲競技が多く、それに加え男子(一般・高校)三段跳などの跳躍種目がほとんどを占めた。

トラック競技は1961年宮崎県記録男子800mの岩下を筆頭に1975年以前全てを合わせても5つしかなかった。

 

男女差があるか、という点では、トップ10に限れば男女比=4:6、1975年以前全てでは22:16であり、性差はほぼないような印象であった。

 

世代別(一般・高校・中学)でみると、トップ10ではほとんど一般で、1つずつ高校女子と中学女子が入っている。

1975年以前全てを含めても、一般は25個、高校は8個、中学は5個であり、一般の種目が圧倒的に多かった。そもそも、集計した競技数で見ても一般(男女合わせて)が54種目なのに対して高校は38種目、中学は23種目。

フィールド種目がほとんどを占めていることを考えて、フィールド種目数で比較すると、一般:高校:中学=16:13:7であった。これはあまり大きく差はついてないかも。

で。そもそも、1975年以降に追加された種目や投擲物の重量が変わった種目があり、それは考慮から外さないといけない(今さら書いてすいません)。

これについては、調べきれなかったので、ご存知の方いらっしゃいましたら教えていただけるとありがたいです。

 

 

1975年以前の記録を複数保持している選手は6人いた。

1961年に女子砲丸投円盤投の2種目で岩手県記録を樹立した小保内らいずれもフィールド種目であった。

岐阜県の高校女子円盤投の松崎(長良→日大)は一般女子砲丸投での県記録も樹立した。

同様に、熊本県の林(長洲中→熊本工高)は、中学・高校女子砲丸投でいずれも県記録を樹立している。

また、ユニークなのが、男子三段跳の井上(法大→日立多賀)であり、法大時代の1972年に岐阜県記録(16m67)をマークしており、卒後は茨城県記録(16m49)を樹立するという、複数の県で同種目での記録保持者となっている。

 

「アジアの鉄人」と呼ばれた室伏重信静岡県男子ハンマー投の記録を1971年に樹立している。

個人的に驚いたのは、神奈川県の高校男子三段跳。1975年に臼井(相模台工)が15m22をマークして41年間破られていない。神奈川は人口に比してハイレベルな記録が年々うまれているのだろうと思っていた(実際、神奈川県高校男子の他の跳躍種目では、走幅跳:7m80、棒高跳:5m42、などここ2年間で樹立されている)。

実際、この記録は昨年のIH決勝で2位に入る(1位はNGRだった)レベルであり、当時の記録としては相当のものであっただろう。

 

また、昔からの記録として残っているのは、比較的地方部のものが多いように感じる。

多くの選手は、各都道府県の高校卒業後、都市部の強豪大学or実業団に所属することになるため、地方陸協所属で活動する選手が少ないと考えられる。そのため、もともと地方出身の選手でも高校卒業以降に好記録を出したとしても(とりわけ実業団ならば)出身陸協ではなく、在住地の陸協での記録ということになってしまい、ますます県記録更新が難しくなったのであろう。

 

【調査の限界】

トラック種目において、電気計時より明らかに手動計時が上回っている(例:100mで0.24秒以上手動計時の方が記録が良い)場合、真の都道府県記録として認める必要があるかもしれない。その一方で、手動計時には誤差があるのは自明であり、どこまで信頼してよいかは疑問が残る。

多くの投擲種目で(特に中学・高校)投擲物の重さの変更が行われているため、比較的新しい記録が多く、特に基準の変化がほとんどない跳躍種目と比べるとランキングで同列に並べるのは無理がある。

 

【感想】

調べるの割と時間かかったし、この時間がマジでもったいないわ。調べたからとりあえずまとめたけど。 

また機会あればこういう誰の特にもならないトリビア的なものを調べてブログ書きたいと思いまーす。